ベトナム戦争の映画と言われると、私のイメージだとランボーやプラトーンのように戦場での過酷さや悲惨さを描いたものや、ビッグウェンズデーやALIなどスポーツや青春を絡めたものが印象強いです。
最近NETFLIXで配信された『シカゴ7裁判』(第93回アカデミー賞作品賞ノミネート)は、ベトナム戦争反戦の暴動に関わる〝法廷〟が舞台の映画ということで少し話題になりましたね。
この『ラストフルメジャー』はベトナム戦争で生き残った帰還兵を取り巻く問題を主軸にしたサスペンス映画で、時系列で言うとベトナム戦争後が舞台となっています。
この映画こんな方におすすめ! ~鑑賞のススメ~
- ベトナム戦争映画が好きな方
- ベトナム戦争アメリカ帰還兵の本音に興味ある方
- 戦争の凄惨さをあらためて確認したい方
- アメリカサスペンスが好きな方
作品あらすじ
1999年、アメリカ。
空軍省のハフマンは、30年以上も請願されてきたある兵士の名誉勲章授与について調査を開始する。
1966年、空軍落下傘救助隊のピッツェンバーガーはベトナムで敵の奇襲を受けて孤立した陸軍中隊の救助に向かうが、激戦のためヘリが降下できず、その身ひとつで地上へ降りて救出活動にあたる。
しかし彼自身は銃弾に倒れ、帰らぬ人となる。
ハフマンは当時ピッツェンバーガーに救助された退役軍人たちから証言を集めるうちに、彼の名誉勲章授与を阻み続けた驚くべき陰謀の存在を知る。
レビュー・考察
主人公であるハフマンは、帰還兵達の実際に経験した戦場での現実や帰還後のやり場のない憤りや気持ち、普通ではいられない精神状態での生活を知るうちに心動かされる形で、本来ならただの時間の穴埋め調査だった本件をとことん突き詰め、自分のキャリアをかけた昇進よりも正義を選び調査を進める。
帰還兵の苦しみの大きさ、時間が経つにつれ大きくなる怒りや悲しみに触れ、ハフマンは自分にできることをフル活用して行動するのです。
指示の失敗から多くの死者をだしてしまったアビリーン作戦に指揮官としてかかわったホルト上院議員の選挙への影響を考慮し同僚のスタントンが推薦状を隠したのだと確信し、その後とうとうピッツの名誉勲章授与をピッツの両親の前で実現する。
私は戦争映画に見る戦争の描かれ方に昔から違和感を感じています。
大人になっても、映画内容は制作国サイドに偏ることはわかっていつつも、極端に言えば相手側は果たして悪なのだろうかと常に思ってしまうのです。(テロや独裁は別)
この作品も名誉勲章授与のシーンなんかは普通に観ていて感動するし、回想シーンで戦争の悲惨さも伝わる、アメリカのベトナム帰還兵サイドでの実話という事も十分理解はしている。
それでも戦争映画はどうしても私はどちらかに偏って観れない、特に米ソの代理戦争と言われるベトナム戦争は。。。
まとめ
現実的ではないけれど、米露越3カ国同時にそれぞれのベトナム戦争を題材にした映画を世に出してもらいたい、あの『硫黄島プロジェクト』の前例があるだけにこれからの未来は子供たちのためにも、この映画を観たら戦争というものはお互いにとって悲しいんだよ、そういった文化が多くなることに期待してしまいます。
ベトナム戦争映画やその時代を描いた映画をみるといつも思うことですが、帰還兵に対するPTSDなどの精神的なケアはいったいどれほど保障されているものなのか気になる。
治療に関しては症状にもよるだろうが、誰もが一生保障されているものなのか、形だけやってます程度のものなのか定かではないが、今作でもやはり帰還兵の日常も描かれていて、当時の戦場の話題を触れられると正気でいられない兵士もいるため、実際の帰還兵の精神状態はもっときつい状態なのかもしれないなと思いました。
映画を観て戦争の爪痕のの傷の深さを感じました。。。
ベトナム戦争症候群とは
健康で帰還したはずのベトナム戦争帰還兵の多くが、何年も経過してから不安や抑うつ症状に悩まされることがあり、その原因の多くが、戦場での忌まわしいシーンや悪夢などの思い出したくない体験に突然連れ戻されるフラッシュバックが原因。
無関心・抑うつ状態・不眠・不安・知覚過敏・錯乱などの症状があらわれ長く続くと薬物中毒・殺人・交通事故・自殺などにつながっていたようです。
当時アメリカではこのような症状を〝ベトナム戦争症候群〟と呼び社会問題になっていたようです。
これはベトナム帰還兵が働きかけたことによりPTSD心的外傷後ストレス障害として、はじめてアメリカの医学会で医学的に認知されるようになったようです。
今回の鑑賞劇場
04-06 リーフレット
6月までの上映作品が掲載されているリーフレットを無料でいただけます。
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