劇場公開日は8月6日。
奇しくも、76回目の“広島原爆忌”を迎えるその日ですね。
日本は原爆被爆国という忘れてはならない過去、我々日本人にとって悲惨な経験を世界へ次世代へとずっと伝えていかねばならない出来事です。
日本人も進めていた原爆の開発…
知り得なかった史実をここで知ることになった。
この映画こんな方におすすめ! ~鑑賞のススメ~
- 平和を願うすべての人
- 戦争を知らない全ての人
作品あらすじ
柳楽優弥、有村架純、三浦春馬の共演で、日本の原爆開発を背景に時代に翻弄された若者たちの姿を描き、2020年8月にNHKで放送されたドラマ「太陽の子」を、ドラマ版とは異なる視点で描いていく劇場版。
戦況が最終局面を迎えた1945年の夏。
科学者・石村修と研究員たちは、国の未来のために原子核爆弾の研究開発を進めていた。
建物疎開で家を失った朝倉世津は、幼なじみの修の家に住むことになり、戦地から修の弟・裕之が一時帰宅し、3人は久しぶりに再会する。
戦地で深い心の傷を負った裕之、物理学研究の裏側にある恐ろしさに葛藤を抱えていた修、そんな2人を力強く包み込む世津は、戦争が終わった後の世界を考え始めていた。
そして、運命の8月6日が訪れてしまう。
修役を柳楽、世津役を有村、裕之役を三浦がそれぞれ演じるほか、田中裕子、國村隼、イッセー尾形、山本晋也らが脇を固める。
監督は連続テレビ小説「ひよっこ」、大河ドラマ「青天を衝け」の黒崎博。
(映画.comより)
キャスト
石村修・・・柳楽優弥
海軍から原爆開発の密命を受けた京都帝国大学の学生で、原子物理学を志す科学者。「実験バカ」と呼ばれるほど情熱的に研究に没頭する一方で、その研究がもたらすであろう恐ろしい結末を思い、葛藤する。幼なじみの世津に密かに想いを寄せている。
朝倉世津・・・有村架純
軍の紡績工場で働きながら「戦争が終わったら教師になる」と、戦後の未来を見据えて力強く日々を生きている。空襲被害を避けるための“建物疎開”で家を取り壊され、祖父と共に幼なじみである修の家に居候することに。修と裕之を兄のように慕う。
石村裕之・・・三浦春馬
修の弟。陸軍の下士官として出兵していたが、肺の療養のため一時帰郷する。以前と変わらぬ明るさで家族や世津に優しくふるまうが、前線での壮絶な戦いが脳裏から離れることはない。裕之もまた世津に想いを寄せている。
石村フミ・・・田中裕子
修と裕之の母で、家を亡くした世津とその祖父を自宅へ住まわせる。軍人の夫を失ってからは女手一つで、時に優しく、時に厳しく息子たちを育て、違う道をそれぞれに歩む息子たちを案じながらもじっと見守っている。
荒勝文策・・・國村隼
京都帝国大学理学部の教授で日本の原子物理学の第一人者。アインシュタインとも交流を持ち、徹底した実験主義で原子核エネルギーの秘密に迫ろうとする。日本の敗色が濃くなる中、海軍の依頼で新型爆弾の開発を引き受け、戸惑いながらも、学生の科学者たちを守りながら導く存在。
澤村・・・イッセー尾形
京都五条坂にある陶器屋「釜いそ」の主。焼き物の釉薬(ゆうやく)として使用している「硝酸ウラン」を修に提供している。
朝倉清三・・・山本晋也
世津と二人で寄り添うように暮らしてきたが、建物疎開で家を失い、世津と一緒に修の家の離れに移り住むことになる。戦争に明け暮れる昭和の日本を見つめてきた世代。
アルベルト・アインシュタイン(声)・・・ピーター・ストーメア
数々の業績を残す物理学者。物理学を志しながら自問自答を繰り返す修の心の中で対話をする。
レビュー・考察 (ネタバレあり)
日本がおこなっていた核開発
次世代エネルギーとして石村修が開発していた原子物理学の研究は第二次世界大戦によって、原子爆弾の研究へと徐々に変わっていこうとしていた。
知り得ない史実…京都大学で行われていた日本の原爆の研究。
もし日本が原子爆弾を完成させたら…
研究員の仲間も徐々にその恐ろしさに気づき始め、喧嘩も起こり始める、研究者たちのミーティングでこの時代この時の日本の追い込まれた気持ちを象徴しているシーンがあった、
「日本がやらなきゃ、アメリカがやるだろう、アメリカがやらなくてもソ連が。。だから早く完成させなければならないんだ。」
もう何が正義かわからなくなっている、、こんな時代なんだ。
それでも研究熱心(実験バカ)な修だけはこの核開発が日本を救うと信じ、空襲の避難命令がでても研究室に籠るほどにそのテーマに取りつかれていた。
戦時中の日本では核燃料となるウランを手に入れることは至難の業で、修は京都五条坂にある陶器屋「釜いそ」の主人から焼き物の釉薬(ゆうやく)として使用している「硝酸ウラン」を譲り受けていた。
修のような熱心な科学者の気持ちは裏を返せば人類を滅亡に導くような発見や開発につながってしまうのは恐ろしくもある。
戦場の恐ろしさを体験した裕之
石村修の弟で陸軍の下士官として出兵していた石村裕之は肺の療養のため一時帰郷する。
前線での壮絶な戦いが脳裏から離れることはなく部隊に戻ることの恐ろしさに押しつぶされそうになっている。
裕之の気持ちを演技で体現している三浦春馬さんの演技は本当に素晴らしかった、家族や幼馴染の前で毅然とした態度をしなけらばならないプレッシャーと特攻に志願していることを隠している後ろめたさ、そして部隊に戻り命を失う事へのとてつもない恐怖が十二分に伝わってきた。。。
そして裕之は家族と別れ戦地へと戻っていく。
戦争が終わった後の未来をみている世津
修と裕之を兄のように慕う朝倉世津は軍の紡績工場で働きながら「戦争が終わったら教師になる」と、戦後の未来を見据えた夢をもって力強く生きている。
今作の役柄ではほとんどの人間が国に洗脳され、日本の戦局が劣勢であることを知り、今を生き抜くことが精いっぱいの中で唯一戦後のことを現実的に考えている人物で、〝結婚は教師になって子供たちに教育をあたえた後で考える〟この強い意志が一番まともな考えを持っているのがこの世津である。
石村家と朝倉家
朝倉家は空襲被害を避けるための“建物疎開”で家を取り壊され、世津は祖父と共に幼なじみである修の家に居候することになる。
世津が一緒に住むことになった修の緊張と嬉しさの混ざった気持ちが表れているシーンはとても理解できる(笑)
1945.8.6 広島
1945年8月6日に広島に原子爆弾が投下され、修ら研究員生達は広島へ赴く、そこで目にしたものは彼ら自身が研究していたものの効果の想像を超える地獄だった。
体が溶けてしまった母親であろう手を握り締めて泣いている幼子を抱きあげる修にかつての目の輝きはなかった。。。
家族への思い
広島から戻った修は2発目の原爆が地元である京都に落ちると予想し母フミと世津にすぐに疎開避難するよう呼びかける、
フミ「確実な情報でない限りは周りの人らを混乱させてしまう」
修「比叡山に登り原爆の記録を残したいんだ」
フミ「今自分がどれだけ恐ろしいこと言ってるのかわからんのか、家族を逃がし自分は原爆の観察するって。。科学者ってのはそんなに偉いんかい?」と修を叱り、
フミ「それが科学者なら私も科学者の母としてここにいる!!」これが母フミの答えだった。
未来へ
京都に原爆は落とされず2つ目は長崎へ落された、そして世津の声で急いで修が家に戻ると裕之の特攻での訃報が届いていた。。。泣き崩れる世津とフミ。。。
3人の若者が戦争に翻弄され精一杯生きた時代、裕之は未来へ向けてどんな思いを残し、世津と修はどんな未来を生きたのだろうか、彼らの未来に笑顔があった事を願いたい。
最後に修は廃墟となった広島にいたが、なぜ修が広島に行きエンディングになったのかは正直わからなかった、私ももう一度劇場で鑑賞する事にしよう。
まとめ
もし日本が原子爆弾を完成させていたら…
熱意や優秀さは人類の破滅と表裏一体である事に痛い程に気づかせてくれる作品でした。
あらゆるものが便利になっていく現代においてもそれは変わらない、我々人間が十分に肝に命じておかなければならない事であると感じた。
国や人種をこえたうえで生きることの意義の大切さもあらためて心に刻みました。
8月6日
この作品が今日この日に公開された意味を感じるとともに、柳楽優弥さん、三浦春馬さん、有村架純さんはじめ出演していたすべての役者さんの魂の籠った演技素晴らしかった。
広島・長崎の原爆犠牲者そして太平洋戦争で亡くなったすべての犠牲者に哀悼の意を表し、平和への実現をお祈りします。
以上、今回もお読みいただきありがとうございました。
それではまた!!
GB
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