未曾有の災害となった東日本大震災、その後の被災地の現実をフィクションを交えて描かれた社会派サスペンス。
10年の時が過ぎ未だなお現地の復興は足踏みしてしまっている部分もあると聞く、その足枷となっている原因の一端がこの作品から見えてくる。
タイトルにもなっている
〝護られなかった者たち〟とは…
この映画こんな方におすすめ! ~鑑賞のススメ~
- 正義感の強い方
- 喪失感になやまされている方
- 取り返しのつかない事をしてしまった方
- サスペンス好きな方
作品あらすじ
東日本大震災から時を経た現代の宮城県内の都市で全身を縛られたまま放置され、餓死させられるという凄惨な 連続殺人事件が発生する。
被害者たちはそれぞれ善人、人格者と言われていた男たちだった。
宮城県警捜査一課 の笘篠誠一郎は、2つの事件からある共通項を見つけ出す。
捜査線上に浮かび上がった容疑者は刑期を終えて出所したばかりの利根泰久、31歳。
知人を助けるために放火、傷害事件を起こして服役していた元模範囚だった。
犯人の決定的な確証がつかめない中で、新たな第3の事件が起こり…。
裁かれなかった罪と罰、正義が交錯した果てにあったのは、あまりに切なすぎる真実だった。
Filmarksより
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予告編
作品情報
製作国 日本
公開日 2021.10.1
スタッフ
監督 瀬々 敬久
脚本 瀬々 敬久 林民夫
音楽 村松崇継
原作
中山七里 『護られなかった者たちへ』
主題歌
桑田佳祐 『月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)』
2011年に発売された桑田佳祐の4枚目のオリジナル・アルバム『MUSICMAN』に収録され、2011年9月、東日本大震災の被災地にエールを送るために敢行された「桑田佳祐『宮城ライブ~明日へのマーチ!!~』」のアンコールでも歌われた楽曲。
会場となったセキスイハイムスーパーアリーナは、震災当時、被災地最大の遺体安置所として使用されており、一般利用再開後初のライヴでもあった本公演で歌われた“月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)”は、東北の人々の様々な想いとリンクし、多くの人の心に寄り添い胸を打った。
当時、その鮮烈なライヴ体験をしていた制作陣は「震災から10年目の宮城を舞台にした本作で、是非桑田さんに主題歌で参加いただきたい」と、本作の開発スタート時から熱望しており、その想いが結果、実現した。
「現在(いま)がどんなにやるせなくても 明日(あす)は今日より素晴らしい」という歌詞は、それぞれに想いを抱えながら生きる登場人物たちの心情、そして映画を観た人の心にもそっと寄り添い、感動の余韻をよりいっそう深いものにしている。
TOWER RECORDS onlineより
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キャスト
利根泰久(佐藤健)
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笘篠誠一郎(阿部寛)
![](https://getbeer910.com/wp-content/uploads/2021/10/abe.jpg)
蓮田智彦(林 遣都)
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円山幹子(清原果耶)
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上崎岳大(吉岡秀隆)
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城之内猛(緒形 直人)
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三雲忠勝 (永山瑛太)
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作中舞台
映画『護られなかった者たちへ』の舞台になっているのは宮城県仙台市です。
感想・解説(ネタバレあり)
東日本大震災から9年後の現代という設定で、現代に起きた殺人事件に過去の回想を交えながら進行していきます。
そしてなんと言ってもこの作品は随所に主役級の俳優さんが登場しますので、圧倒されるサスペンス要素に加えてそのあたりも作品の見所となっています。
物語は震災直後の避難所から始まります。。。
東日本大震災
未曾有の大地震であった東日本大震災は東北各地が甚大な被害を受け多くの被災者を出した。
東北のみならず日本の経済にも大打撃を与える大災害であった。
ここからネタバレあり
↓↓ ↓↓
笘篠誠一郎 の境遇
9年前の震災直後、勤務中だった宮城県警捜査第一課の笘篠誠一郎は行方不明の妻と息子の安否を確認するため避難所に駆けつけていた。
笘篠は血相を変え一階を探し回り、妻と息子がいないことを確認すると走って階段を駆け上がる、多少激しく人にぶつかっても笘篠はそれどころではない。。。だが実はここで笘篠がある青年にぶつかっている、この青年こそが後に笘篠が事件担当し捜査対象として追う容疑者 利根だ、震災直後は利根もこの避難所に避難していたのだった。
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すべての部屋を確認した笘篠だがどこにも妻と息子の姿はなく安否確認ボードにもメッセージはなかった、そして携帯電話の留守番には
“私たちは大丈夫必ず家に戻るから、あなたは無事ですか?”
と妻からのメッセージが入っていた、それは時間的にあの津波が襲来する前のメッセージだった。。。
笘篠の家は海からほど近い場所だったがおそらく妻と息子は津波が来ることを予想していなかったのだろう、家に帰っては駄目だ。。。笘篠は避難所の外で絶望し呆然と立ち尽くすのだった。
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避難所の前に立ち尽くす笘篠が目線を上げると向こうに黄色いジャンパーを着た子供が立ってこちらを見ている、笘篠は探している自分の息子も同じ色の(黄色の)ジャンパーを着ていたことを思い出していた。
後日笘篠は遺体安置所で妻の死亡を確認する、妻の手には最後まで離さなかったのであろう息子の腕時計が握られていた。
笘篠はその時から息子の腕時計を肌身離さずに腕につけている、
ピピピ
時計は時報がセットされているようだ。
連続殺人事件
震災後9年が経ち、少しづつ復興が進んでいく中で殺人事件がおこる、仙台市若葉区保健福祉センターの課長・三雲忠勝が手足を拘束、口を塞がれた状態で餓死しているところを発見され、その後仙台福祉連絡会副理事の城之内猛留も同じような状態で餓死した遺体で発見された。
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宮城県警は生活保護に絡む怨恨が原因の連続殺人事件として捜査を始める、笘篠と蓮田は福祉センターで三雲の部下でもあった円山幹子に聞き込み、保険事務所では職員の支倉(黒田大輔)に名簿の開示を求めた。
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保健福祉センターでトラブルになった受給希望者のリストを調べていくうちに、捜査線上に容疑者として浮かび上がったのは放火の罪で刑期を終え模範囚として出所したばかりの利根泰久だった。
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生活困窮の実態
震災後、職を失い生活に困窮し生活保護を受給申請する被災者も多い、だが一方ではその生活保護の不正受給者や本来受給されるべき対象者が何らかの理由で受給を拒否してしまっている現実があった。
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殺された三雲の部下で保健福祉センターで働く円山幹子はケースワーカーとして生活保護の受給者・受給対象者・受給希望者の救済措置をしている。
正義感の強い円山は不正受給者への対応も毅然としている、逆に十分に受給資格があるのに世間体を気にして受給を受けない被災者には受給資格がある事、生活保護は国が全ての国民に対し最低限度の生活を保障する制度であることを説明していた。
そしてもう一つ、ひっ迫する福祉予算の影で、国が水際対策として生活保護の受給者を調整したりまたは申請を却下したり最後の最後まで食い下がりながら申請を取りやめるように誘導するなどの行為が行われていた。
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容疑者
利根を探す笘篠と蓮田は偶然雨の中を歩いている利根を見つける、
笘篠 利根!!
利根は全速力で走り出した。
笘篠と蓮田は車を乗り捨てて利根を追うも利根はどこかへ逃げてしまう。
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利根の家族
利根の調査を進める笘篠は児童養護施設を訪ねた、利根は産まれたばかりでまだへその緒が付いたまま放置されていたところを施設に引き取られていた過去があった。
親の愛を知らずに育った利根は震災で被災しあの避難所へ、凍えるほど寒い中避難所の部屋の中で利根は寒さで身を固めていた、目の前にいた高齢女性が黄色いジャンパーを着た小さな子どもに毛布を渡そうとするが子供はどこか悲しく寂しそうな態度で膝を抱えてうずくまるように拒否する、女性は余っている毛布を見ず知らずの利根に渡そうと差し出す、だが利根はその毛布を自分は大丈夫だからと再び毛布を黄色いジャンパーを着た子供のほうへ投げた。
夜が明け、食料の配給が外のグラウンドに立てられている仮設テントに運ばれてくる、当たり前だが避難している人は並んでその配給を受け取る、黄色いジャンパーの子供も並んでいたのだがそこへ数人の大人たちが列への横入りをする、それを遠くから見ていた利根は猛ダッシュでその横入りした大人たちに掴みかかり喧嘩になるが利根は逆に割り込みをしたと勘違いをされ数人の男たちに抑えられ雨水の水たまりに顔を押しつけられ叫ぶ
利根 ふざけんなーーー!!
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避難所での人間の極度の精神状態が描写されているシーンである。
黄色いジャンパーを着た子供は利根のことをよく観ていたので自分のために行動してくれた利根に心を開いていく、黄色いジャンパーの子供はカンちゃん、老女性はケイさんといい利根は次第に2人と仲良くなっていく。
カンちゃんは遺体安置所で探していた母親の遺体を叔父(浪岡一喜)と一緒に確認した。
帰省許可が出た頃ケイさんは避難所にいるよりここの方がいいとカンちゃんを連れて実家に戻る生活を始めた。
ある日カンちゃんが利根をケイさんの家に誘う、
カン 泰久兄ちゃんもケイさんち行こうよ
利根はいやいやながらも足を運び、ケイさんは利根を歓迎し話しかける、
ケイ 利根君もっと笑って、笑っていれば人が集まるからね。。。
笑い慣れていない利根はやはり笑えない。。。
そして3人でこたつを囲みうどんを食べる、
素うどんだ。
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その夜、避難所に帰ろうとした利根をケイとカンちゃんは引き止める、川の字になって寝る。
利根にとってこの家族のようなふれあいは何もかも初めての経験で、時折どうしていいかわからないようなしぐさを見せながらもやはり笑顔は作れない。
布団の中でケイは母親のことを思い出し泣くカンちゃんに、出会ったことへの感謝を伝え優しく抱きしめる。
その隣にいた利根はそんな話を聞いていられないと言って家を飛び出してしまう、だがケイさんはそれを追って外へ出てきて利根を後ろからやさしく包み込む。
普通の家族のような光景だった、この状況で人の温かみを伝えようとするケイさんの優しさに今執筆中にも涙が出てくる。。。
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家族のように暮らしていた3人だったが、利根が働きに出る時がきた。
利根も言葉が多くなりそして笑顔も、、、ケイさんは利根の髪を散髪しとうとう別れの時がくる。
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家の外で利根を見送るケイさんとカンちゃん、
利根 またすぐに来るから
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利根の中で母親のようなケイさん、妹のようなカンちゃんは大切な家族となっていた。
手を振る二人を利根が笑顔で返し歩き出す。
3人の再会
年月が流れ利根はケイさんを訪ねるためにバス停を降りた、そこに自転車に乗った女子高生が利根に声をかける、「泰久兄ちゃん!!」、利根は一瞬誰かわからずにいたがその女子高生は成長したカンちゃんの姿だった、
利根 カンちゃんか!制服着てるからわからなかったよ!
二人は久しぶりの再会を喜びカンちゃんの自転車でケイさんに会いに行った。
だが家に着くとぐったりと寝込んだケイさんがいた、利根とカンちゃんに気づき急いで起きるケイさん、様子がおかしいケイさんにしっかり食事をとっているのかを聞くがケイさんは話をはぐらかす、利根とカンちゃんは生活保護の受給をケイさんに進めるがあまり乗り気でないケイさん。
それでも説得し3人は保健福祉センターへ行く、なんらかの理由があり乗り気でないケイさんを説得し受給申請書にサインをし審査を受けることとなったケイさん、担当した職員は三雲忠勝だった。
1度は生活保護の受給申請を出したケイさんでしたが、その後の調査で養子に出した実の娘がいることが発覚します、しかしその娘は実母(ケイさん)は死んだと聞かされいるようで、〝 扶養義務者の扶養は保護に優先して行われるもの 〟と身内がいるものは身内に頼ってくださいとする生活保護法から、娘の今の生活を壊したくないケイさんは生活保護に頼ることができず辞退を決めたのでした。。。
見ていてつらくなるシーンは続きます、
そしてケイさんはとうとう家で餓死してしまいます、、、3人でまるで家族のように暮らしたあの家で、、、
利根とカンちゃんはてっきりケイさんは生活保護をうけて暮らしていると思っていたので、状況を理解するのに時間が必要でしたが容赦なく悲しみの嵐は二人を襲う、そして利根とカンちゃんはケイさんが生活保護を辞退したことを三雲から聞く、信じることができない利根は福祉センターに乗り込み三雲に掴みかかり怒りをぶつけます、
利根 ケイさんが生活保護辞退したって、、、そんなことするわけねーだろー!!!
なるべく生活保護の受給者を減らそうとしていた福祉センターのやり方を知り利根、そしてカンちゃんにも激しい怒りが芽生えます。
そしてここで利根は福祉センターに放火し逮捕されるのです。
悲しみの果てに
幹ちゃん
笘篠が再び円山の元を訪ねる、そこで点がつながり始めた笘篠は利根が言っていた〝カンちゃん〟が
円山であることに気づいたことを伝える。
笘篠 円山幹子の幹、カンちゃんだろ
そう言って笘篠は円山の前から去る。
急展開
捜査を進める笘篠は利根を取り調べしている最中、突然上崎が行方不明になった情報が入る、焦った笘篠がこの件の情報を得ていないかを利根に問いただす、ここで殺人事件の犯人が利根でない他の誰かの可能性が出てきた。
利根は犯人が連れていきそうな場所を憶測で笘篠へ教え、笘篠、蓮田と3人で現場に急行する。
着いた場所はケイさんの家だった、そしてその中で上崎を監禁し殺そうとしているのは
円山幹子(カンちゃん) だった。
利根と同じように福祉センターへの怒りが収まらなかった円山は復讐を決心して自らそこへ就職していたのだ、そして円山幹子はケイさんの復讐のために2件の殺人事件を企て実行していたのだった。
利根の説得により上崎の命は守られた、利根は円山に言った
利根 死んでいい人なんて、いないんだ…
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悲しみが悲しみを呼ぶ展開に観ていても、ただただその映像に耐えるだけでした。。。
円山は犯行前にSNSに声明を上げていた、
「護られなかった者たちへ」 ・・・ あなたは1人ではない。 何度でも勇気を持って声を上げてください。 不埒な者が上げる声よりも、もっと大きく、図太く ・・・
復讐を企てていた円山だがその声明文からは、怒りや恨みではなく、自分がケースワーカーとして正面から向き合い働いて感じたことが反映されていた。
自分の中の正義を貫いた円山自身も
〝 護られなかった者 〟
だったのだ。
利根と笘篠
円山幹子は殺人容疑で逮捕、そして釈放された利根を笘篠は車で送る、利根が降車したのは新しい防潮堤ができている海岸だった。
笘篠 利根、ちょっといいか
と車を降りた利根に話しかけ二人は車から防潮堤を上がり、浜に下りて話し出す。
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利根のトラウマと笘篠の接点
利根と笘篠が海辺で語り二人の接点が明らかになる。
利根 助けられなかったんだ、ずっと心のトラウマになっていたんだ、あの日津波に流される黄色いジャンパーを着た子供を。。。俺は。。。俺は沈んでゆく子供を助けられなかった。。。
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利根は笘篠の息子と思われる黄色いジャンパーの子供を助けられなかった事をずっと悔やんでいたのだ、避難所で出会ったカンちゃんこと円山幹子を妹のように大切にしてきたのは、あの時助けられなかった少年のように黄色いジャンパーを幼い円山がきていたからだった。
利根 俺が、生きていていいのかわからなくなるんだ…
笘篠 。。。。
父親として刑事として、そして受け入れなければならない現実とまだ信じたくない気持ちが次の言葉に集約されていた、阿部寛さんのこの最後のセリフを語る表情と声は本当に素晴らしかった。
笘篠 ありがとう。。。助けようとしてくれてありがとう。
そして笘篠のはめている息子の腕時計の時報が鳴る、
ピピピ…
まるで笘篠の息子がどこかからか父親に向けて答えているようだった…
表情が硬くめったに笑わないが根は真面目でやさしい利根の性格を知った笘篠は、利根がかつて放火で逮捕された際に模範囚として出所した理由もここで理解できたのだと思う。
笘篠のセリフで物語は終わり、桑田佳祐さんのエンディングテーマ
『月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)』が流れる。
この何とも言えない切ない流れは
〝魂が泣く〟そのものだった。
護られなかった者たちへ (タイトル回収)
〝護られなかった者たちへ〟円山幹子がSNSで生活保護を受給できなかった人たちに向けて発信したこの投稿文の題名も、エンディング時には利根・笘篠・円山達を含めた震災で被害を受けたすべての方へという広義に作品タイトルが当てはまる。
〝護れなかった者〟から
〝護られなかった者たち〟へ
タイトル回収を考えるだけで東日本大震災から日本という大きな括りで予想を裏切る展開で、サスペンス要素もかなり秀逸な作りで最後まで鑑賞していて面白かったです。
〝護れなかった者〟という意識から展開するストーリーが〝護られなかった者たち〟へ、この作品は最後には観ている人全てに他人事ではない現実を訴えかけていることに気づく…
本当に心に深く突き刺さる作品でした。
まとめ
最近の映画(特に邦画)は、主役はもちろんだが脇役からその中でもチョイ役の方々まで本当に素晴らしい印象を与えてくれる、これは決して脚本だけの効果ではないと思う。
考えられる事はいろいろあるのだろうが、それは私などの素人の憶測でしかない、でもなんにせよ鑑賞する我々からすればこんなに充実したエンタメを味わえるなんてこれほど喜ばしい事はない、レベルの高い日本の役者さんの演技、それを感じられるだけでも劇場に足を運ぶだけの価値はある。
今作も登場人物の成り行きはすべて明らかになるも、先行きは決して平たんなものではなく、暗い世の中を手探りで進まなければならないほど、皆が悲しみを背負った重い雰囲気で終わります。
ただ私はこの映画を見た方の流した涙の数だけ〝まだ捨てたもんじゃない〟と思えるようなこの先の日本を体現化できるものになることを信じている。
映画『護られなかった者たちへ』はフィクションとノンフィクションの狭間から生み出されるミステリーに釘付けになる映画でした、エンディングではケイさんの死の悲しすぎる背景を思い出し、人間のはかなさを痛感し涙がとまらなかった。
利根が犯行現場で幹子に言った言葉、
「死んでいい人なんていないんだ。。。」、
この言葉は今の混沌とした世の中で感情に行き詰った人たちすべてに語り掛けているようにも感じた。
どんなどん底に落ちてもそこから生きていく意味が必ず人間一人一人にある。
人間の力ではどうにもできない問題を正面から貫いている素晴らしい作品でした。
以上、
今回もお読みいただきありがとうございました。
それではまた!
GB
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