日本でも問題となっている車のあおり運転、身近にあるこの問題も自身が事故やトラブルを起こさない限り、深く考えることは無いのかもしれないですよね。
この映画、追いかけるサイコパスな男と逃げるシングルマザーという構図ですが、このように言葉で書くとサイコパス男が〝悪〟でシングルマザーが〝善〟のように思うでしょう、確かに作品の軸である〝あおり運転〟だけに関していえばそうなのかもしれません。
しかしそこに至るまでの2人の心理状態と出会ったときに交わした会話に注目して鑑賞してみてください、どちらが悪いのか一概には言えなくなるかも…
この映画こんな方におすすめ! ~鑑賞のススメ~
- 車を運転するすべての方
作品あらすじ
「グラディエーター」のオスカー俳優ラッセル・クロウが、あおり運転の常習犯を演じたスリラー。
寝坊してあわてて息子を学校へ送りながら職場へと向かう美容師のレイチェル。
車を運転する彼女は信号待ちで止まるが、信号が青になっても前の車は一向に発進しようとしない。
クラクションを鳴らしても動じないため、レイチェルは車を追い越すが、つけてきた男から「運転マナーがなっていない」と注意されてしまう。謝罪を求める男を拒絶し、息子を無事に学校に送り届けたレイチェルだったが、ガソリンスタンドの売店でさっきの男に尾けられていることに気づく。
レイチェルは店員から男があおり運転の常習犯であることを警告され……。
素性不明の恐怖のあおり運転常習犯をクロウが怪演。被害者となるレイチェルを、「移動都市 モータル・エンジン」「否定と肯定」などに出演したカレン・ピストリアスが演じた。
監督は「レッド・バレッツ」「幸せでおカネが買えるワケ」のデリック・ボルテ。
(映画.comより)
あおり運転とは
道路を走行する軽車両、バイク、自転車に対し、周囲の運転者が何らかの原因や目的で、運転中に他の運転者を煽ることによって、道路における交通の危険を生じさせ、通行をみだりに妨害する行為の総称である。
日本の道路交通法においては「妨害運転」とされている。
あおり運転の発生起因とされる脆弱な精神状態
- 人は車を運転している時は、気が大きくなる心理傾向がある。
- 車は自分の思い通りに動く鎧のようなもので、(オープンカーでなければ)自分が守られている空間であるからこそ気が大きくなる。
- 自分の思い通りにならない時は、些細なことでも怒りの感情が現れやすいとされている。
- 「車のナンバーでは個人情報が特定ができない」という運転者の誤った思い込みから、衝動的な行動に走りやすい点もある。
- 大きくて目線の高い車や高級車に乗ると自分が高級になったと錯覚しやすく、一部には気が大きくなって攻撃的になるドライバーもいる。
- 多数のステッカーや装飾品でカスタムを施している車両は、特にロード・レージを引き起こしやすい傾向があるようです。
あおり運転の罰則 (警視庁HPより)
令和2年6月10日に公布された道路交通法の一部を改正する法律により、妨害運転(「あおり運転」)に対する罰則が創設されました。
他の車両等の通行を妨害する目的で、急ブレーキ禁止違反や車間距離不保持等の違反を行うことは、厳正な取締りの対象、最大で懲役3年の刑。
妨害運転により著しい交通の危険を生じさせた場合は、最大で懲役5年の刑。
妨害運転をした者は運転免許を取り消し。
TRALER
ネタバレビュー・考察
ラッセルクロウ演じる〝男〟(人物名無し笑)は信号待ちでシングルマザーのレイチェル(カレン・ピストリアス)にクラクションを鳴らされたことから、彼女の乗る車を執拗に煽り続け、しだいに殺意を抱きはじめるという、現実味がなさそうで、実際は近年のニュースを見ていたらありえるような、あおり運転という社会問題を題材にした作品。
ラッセルクロウ演じる〝男〟、いや男を演じる〝ラッセルクロウ〟のあの狂気じみた恐ろしい雰囲気が最初から最後の最後まで見所になっている近年稀に見るアクションスリラー映画でした。
今作の出演についてのラッセルクロウのインタビュー ↓↓
男とレイチェルは2人ともそれぞれの元パートナーと別れた事からのストレスが原因で精神的不安定な状況で暮らしていたことが明らかにされている。
あおり運転のアクションが凄すぎて、細かい情報を見逃してしまいそうになるが、2人が接するまでのそれぞれの情報をまとめるとこんな状況となる、
あおり男
会社が倒産
やっと再就職するもクビ
元妻が浮気
レイチェル
離婚裁判中
夫の資産である家に住み着いている
勤めていた美容室が潰れる
フリーの美容師になるが寝坊遅刻多々で客が離れている
男は言ってみれば、すでに人生ヤケクソ状態です、なんならすでに元妻と浮気相手を夜中に襲撃し暴行を加え家に放火してます。
男はある意味怖いものなしの精神無双している状態なので危険中の危険人物です。
ただ、だからといってレイチェルが運が悪い被害者かというと私は決してそうは思わない↑、序文でも書いたが男がレイチェルをあおり追いかける以前の心理状態と、レイチェルがあおられる以前の心理状態が1番重要で、映画を楽しむにはこのあたりの背景を知っておくとさらに深く楽しめるはずです。
男はレイチェルの周囲の人間を次々に殺していきます、そしてとうとう男の手はレイチェルの息子に及ぼうとしますが。。。
ラストで男はレイチェルの息子の首を絞めて殺害しようとしますが、レイチェルが美容ハサミで男に反撃をし男は目を刺されて男は倒れそこに警察がきてレイチェルと息子は助かる、、、
この映画、そのラストシーンを除けば最初から最後まで実際に有りえることだと考える、現実的に考えたらこの設定あの状況でレイチェルが男を一発で刺し殺すのは現実的じゃないからね、男のあの無双ぶりをみたら現実であればレイチェルも一瞬で命を落としていたと思います(^^;
まとめ
怒りの感情と上手く付き合うためのインストラクターを組織する団体である日本アンガーマネージメント協会の調べによると、日本国内であおり運転をされたことがあるドライバーは83.1%にも及ぶといわれています。
しかし太ってデカくなったラッセルクロウの目、怖すぎです…^^;
予告トレーラーがターミネーターのBGMをしれっと使っていたり、スピードやミッションインポッシブルをオマージュしたようなカットを見せ、ラッセルクロウが日本語で「アオッテンジャネエヨ」とかそんな感じだったので、笑いもある作品かと思っていましたが、見事に良い意味で裏切ってきました。
映画の冒頭でもナレーションがあるのですが、経済状況が悪くなるにつれ世の中はどんどん犯罪は増え、人間はお互いを尊重できなくなっていくようです。
〝経済的不況と犯罪数は比例する〟
統計で出ているこのようなデータは、これから確実に不況になっていく少子高齢化の日本が避けられない道かもしれません。
このことをわかっていても、人の心が生み出す悪循環は避けることは不可能なのかもしれませんね。
映画『アオラレ』は予想を遥かに上回る、最後までスクリーンに釘付けになるアクションスリラー映画でした。
GB
今回の鑑賞劇場
2021.5.31
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