第44回日本アカデミー賞作品賞、最優秀主演男優賞受賞作品。
昨年観ることが叶わなかった作品が日本アカデミー賞の作品賞を受賞したこともあってか、早くもリバイバル上映されているので劇場に足を運びました。
ジェンダー問題を描いた作品ですが、詳しくは、そこにまつわる主人公と虐待を受けている姪との関係の物語です。
ジェンダーの主人公を演じた草彅剛さんの演技がとても話題になった作品でしたね。
日ごろから私たち多くの人間にことあるごとに起こる小さな悩み、大多数の人は少し落ち着いて考えれば冷静に対処できるそんな小さな悩みも、人によっては幼少期から抱えているコンプレックスなどに結びつき自暴自棄に陥ってしまう人もいる。
この映画は、そんな堕ちていく主人公〝凪沙〟の生きざまを美しく表現し、観た人に衝撃を与える作品です。
この映画こんな方におすすめ! ~鑑賞のススメ~
- ジェンダー問題に対して興味のない方
- ジェンダー問題に対して興味のある方
- トランスジェンダーの方
- 軽蔑思考の強い方
- バレエ経験のある方
- バレエ好きな方
作品あらすじ
草薙剛演じるトランスジェンダーの主人公と親の愛情を知らない少女の擬似親子的な愛の姿を描いた、「下衆の愛」の内田英治監督オリジナル脚本によるドラマ。
故郷を離れ、新宿のニューハーフショークラブのステージに立つ、トランスジェンダーの凪沙。
ある日、凪沙は養育費目当てで、少女・一果を預かることになる。
常に社会の片隅に追いやられてきた凪沙、実の親の育児放棄によって孤独の中で生きてきた一果。
そんな2人にかつてなかった感情が芽生え始める。
草薙が主人公・凪沙役を、オーディションで抜擢された新人の服部樹咲が一果役を演じるほか、水川あさみ、真飛聖、田口トモロヲらが共演。
トランスジェンダーとは
生まれた時に割り当てられた性別が自身の性同一性と異なる人である。
性同一性は、性自認、ジェンダー・アイデンティティとも呼ばれ、自身の性をどのように認識しているのかを指す。
LGBTとは
レズビアン、ゲイ、両性愛、トランスジェンダーの各単語の頭文字を組み合わせた表現である。
ネタバレビュー・考察
美しい作風に響かないようにしたからなのか、自殺や逮捕で消えていく登場人物などは、消えたその後が描かれないままでした。
特に一果の親友であるりんが、親戚一同の前で踊りながら最後に飛び降りたのは意表をつかれてびっくりした。
性転換手術のシーンが長く写されていたがどのような意図があったのか、グロい描写もあったので、全体的に美しい作品に仕上げようとしているのを感じた中で少し疑問に思いました。
りんのように家庭がどれだけ裕福でも、日頃親が寄り添ってあげていられなければ、こういった悲しい事になりかねないという事は一つの教育の反面教師としてとらえてもいいのかもしれません。
子供の目先の夢が絶たれたとしても、親は我が子の絶望に寄り添い、この先まだまだたくさんいろんな可能性があるんだよという希望をあたえてあげないとね。
この映画では、金持ちだが子の事を理解していない親と、貧乏だけど体当たりで子と向き合っている擬親との結果の対比が見て取れる。
思い詰めた凪沙が思わず「なんで私だけ!なんで私ばっかり!」と泣き叫ぶ、冷静に判断すれば決して自分だけではないことは凪沙が1番わかっているはずなのに…普段から困っている仲間に手を差し伸べる凪沙の心が決壊していくのを観ていてとても痛々しく、悲しくなりました。
運命に翻弄される人生、誰が悪いわけでもない。
凪沙と一果、孤独な2人の悲しく重いストーリー、
最後はそこに確かな親子の愛がみえてくる感動の作品、
それが『ミッドナイトスワン』でした。
まとめ
今回は4都府県に出された緊急事態宣言で公開延期されている作品の上映予定枠に充ててリバイバル上映されている今作品を観賞しました。
今回凪沙を演じた草彅剛さんもさることながら、一果役の新人 服部樹咲さんの存在感がすごかったです。
服部さんはバレエで全国でも活躍しているガチのアスリートのようで、今回のバレエを選考基準にしたオーディションから大抜擢され、演技未経験のまま今作に出演したようです。
今作の彼女の演技を見ればわかりますが、手足が長く、バレエで培った体幹などの身体能力を武器にして、女優としての今後の活躍がとても楽しみな要注目女優です。
ロケ地情報
凪沙が最後に見たいと言って一果とともに来た白い砂浜の綺麗な海、そのロケ地は静岡県下田市にある舞磯浜のようです。(エンドロールで下田ロケ地のワードがありましたね。)
このあたりは吉佐美地区と言って下田市の浜の中でも砂が白くきれいなビーチで有名な地域です。
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