映画『そして、バトンは渡された』感想・解説(ネタバレあり)普通じゃないけど幸せ!?

親が子につく命がけの嘘とは、

多くの鑑賞者がパッと思いつくのは〝やましい事?〟と思うのかもしれない、そして予告編を見ている大抵の方は、その後に〝いやいやそんな単純な物語じゃないはずだ〟とすぐに自身の中で訂正すると思います。

複雑な家庭環境から出てくる問題と物語、冷静で見れる方と涙無しでは見れない方と分かれる作品かもしれない…

映画『そして、バトンは渡された』公式HP

この映画こんな方におすすめ! ~鑑賞のススメ~

  • 泣けるヒューマンドラマが好きな方

作品あらすじ

血の繋がらない親の間をリレーされ、4回も苗字が変わった森宮優子。

わけあって料理上手な義理の父親、森宮さんと二人暮らし。

今は卒業式でピアノを弾く『旅立ちの日に』を猛特訓中。

将来のこと恋のこと友達のこと、うまくいかないことばかり…。

そして、夫を何度も変えて自由奔放に生きる魔性の女・梨花。

泣き虫な娘のみぃたんに精一杯愛情を注ぎ共に暮らしていたが、ある日突然、娘を残して姿を消してしまう―。

全く違う2つの物語が繋がったとき、驚きとともに、今年最大の感動が訪れる。

Filmarksより

予告編

©2021映画「そして、バトンは渡された」製作委員会

作品情報

製作国 日本
公開日  2021/10/29

スタッフ

監督 前田哲
脚本 橋本裕志
音楽 富貴晴美
インスパイアソング SHE’S

原作 

瀬尾まいこ 『そして、バトンは渡された』

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キャスト

森宮優子(永野芽郁)

これまでに4回も苗字が変わる不遇な環境なのに、あっけらかんとした性格。同じ高校の早瀬君のことが気になっている。

森宮壮介(田中圭)

料理で愛情を表現するタイプだが、時にダメ親父っぷりを発揮してしまう優子の今の父親。

田中梨花(石原さとみ)

みぃたんの母親。自由奔放で、目的のためには手段を選ばない魔性の女。

早瀬くん(岡田健志)

ピアノが上手な優子の同級生。やがて風変わりな家族構成の優子に惹かれ始める。

水戸さん(大森南明)

梨花が選んだ1番目の夫。
梨花に振り回されながらも、家族を残して海外へ働きに出る。

泉ヶ原さん(市村正規)

梨花が選んだ2番目の夫。お金目当てで暮らし始める梨花を受け入れ、みぃたんにも愛情を注ぐ。

みぃたん(稲垣来泉)

友達思いの泣き虫な女の子。いつもみぃみぃ泣いている。梨花のことが好き。

 

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感想・解説(ネタバレあり)

清々しすぎるほど性格の良い女子高生優子と父 森宮の生活を描く現在軸と、みぃたんという幼い女の子が親の離婚・再婚を経て成長していく過去軸が同時に進行していきます。

  

  

  

↓↓ここからネタバレ含みます

  

みぃたんは水戸優子

何を隠そう、このみぃたんは幼い頃の優子です。(感が鋭い方なら序盤ですぐにピンとくるかも)

みぃたんには幼い頃死別した実の母親の記憶はなく、一枚の写真で見る母の顔しか知らない。

物心ついた頃には父と2人暮らしだったみぃたん、父親は一生懸命にみぃたんを育てていたが幼いみぃたんはママに会いたくてすぐに寂しくなってしまう。

ある日父の職場で働く梨花という女性がみぃたんの前に現れる、梨花はすぐにみぃたんを溺愛し、

梨花 みぃたんのお母さんになるね!

こんなノリで梨花は水戸と結婚することとなる。

みぃたんに新しいママができた。

梨花はみぃたんこそ溺愛していたが元々自由奔放で目的の為なら手段を選ばない魔性の女の一面もあり、夫の水戸のことはあまり関心が薄いようで、家族団らんを考えながら仕事熱心でコーヒー豆について熱く語る水戸とは細かなすれ違いがでているようだった。

ある日みぃたんの誕生日パーティーをやっているときに、水戸が梨花にも何か頼みはないかと聞いた、そこで梨花が口に出した言葉は

梨花 生命保険なるべく高いやつに入っておいて!

。。。男が女に不信感を抱き頭にくる言葉だが、それ言うところか!?

というシチュエーションでとんでもないことをあっさり言うような性格…そしてその梨花の態度はどこか焦っているようにも感じた。

そして水戸家で遊園地に行くことになり3人で休憩中にふと水戸が話を切り出す、

水戸 お父さん自分のコーヒー豆作るのが夢だって言っただろ、それが叶いそうなんだ、だから3人でブラジルに暮らそうかと思ってるんだ。

いきなりの夫のカミングアウトに梨花は絶句し、みぃたんは驚く。

そしてもっと現実的な意味で驚いたのは水戸はもう会社も退職しているということだ、これには流石に梨花も

梨花 なぜ、相談もなしに…

と真面目な(?)言葉を呟く

そしてみぃたんも小学校の友達と別れたくないと言い、水戸と梨花はもう別れる前提でどちらがみぃいたんを引き取るかでもめる、埒が明かない二人、そして梨花が切り出す、

梨花 じゃあみぃたんに決めてもらおう

と、人生を左右する決断をなんと小学生のみぃたんに求めるのだった。。。

父も母も好き、でもブラジルに住むことなど想像もできない、友達も日本にいる、そして梨花の言葉巧みな説得もありみぃたんは日本で梨花と暮らすことを決意する。

優子にとって(みぃたんにとって)この時が人生の大きな分岐点だった、仕事熱心な父水戸、自由奔放な新しい母梨花、父と母の性格のすれ違いが二人にとって一番大切な娘 優子の人生を変えてしまったのだ。

みぃたんは田中優子

梨花と暮らすようになったみぃたんだったが、やはり父の事が愛おしくて気になり、毎日のように泣きながらブラジルにいる父へ手紙を書いていた。

みぃたんのこの状況、普通であれば子供は対応しきれずに一緒に暮らしている母に八つ当たりをし、それがエスカレートしていくようになりそうなものだ、でもこの作中では梨花のなんとしてもみぃたんを守るという気持ちと、みぃたんの素直な性格でその日その日を生きていた。

梨花と暮らし楽しいながらも父のことが頭から離れず毎日泣いていたみぃたんに梨花は

梨花 こういう時こそ笑っておかなきゃ

と励ますが。。。

梨花はパートタイマーとして地道に稼ぎ家計をなんとか保ちつつみぃたんと暮らしていたが、浪費癖が治らず家計は常にひっ迫している状態だった。

みぃたんは泉ヶ原優子

ある日、みぃたんは仲の良い友達二人がピアノを習っていることを聞き、みぃたんもピアノを習いたいと梨花に打ち明ける、そして梨花はある年配の知り合い男性に接触する。

年配の男性は泉ヶ原といい莫大な資産を所有する大金持ちだった、梨花はみぃたんのピアノのために泉ヶ原と結婚する。。。

みぃたん ママはピアノのために結婚したの???

とみぃたんが戸惑い驚くくらいあっさりと行動力を発揮した梨花、

大きな屋敷に立派なピアノ、住む場所も環境も一瞬にして変わったみぃたん。

だが、梨花はある日突然娘であるみぃたんの前であからさまに不満を言う

梨花 あ~~、なんか窮屈なのよねこの家、かたっ苦しくない?? みぃたん一緒にここをでようか??

言われたみぃたんも少し違和感はあったものの、気まぐれな梨花の言葉となにも疑う余地はなかった。

しかし昨日まで庭のプールサイドで優雅に暮らしていた梨花からなんの理由もなく出る言葉とは思えないものだった。

せっかくピアノを覚え始め泉ヶ原の優しい性格にも感謝していたみぃたんは出ていく気はなく、梨花は置手紙を残し突然姿を消してしまう。

しばらくして家に戻ってきた梨花は失踪した理由も伝えずに泉ヶ原と別れる決断を再度みぃたんへ伝える。

泉ヶ原は戸惑うみぃたんを気遣い

泉ヶ原 私のことは気にしなくていい、ピアノはみぃたんが弾きにきたかったらいつでも弾きに来ていいんだよ。

と優しい言葉をなげかける。

みぃたんは森宮優子へ

泉ヶ原と離婚した梨花は次に高校の同窓会で一人で寂しく立っていた森宮へ接触していく、梨花が森宮をターゲットにしたのは森宮が東大卒で大会社に就職していることをすでにリサーチしての行動だった。

一方森宮は大会社へ就職したものの気の優しすぎる性格から社内では同期に手柄を横取りされるなどで一定収入はあるものの出世街道とは程遠いサラリーマン生活をおくっていた。

思えば森宮は小さな頃から大事なところでミスをしてしまうことが多かった、中でも小学生の頃の運動会でバトンを落としてしまい一位を逃してしまった思い出がトラウマになっていた。

梨花は森宮と結婚する決意をするが、結婚式当日にみぃたんの存在を知る、驚く森宮だが心優しい森宮はすぐに可愛らしいみぃたんを受け入れ三人での新しい生活がスタートした。

しかし、しばらくして梨花から〝探さないでください〟と連絡がありまた梨花は失踪する、優子はまたママの癖が出たと思っていたがそのまま離婚すると言う事態になり、優子はとうとう梨花に置いて行かれてしまった。

森宮と2人になった優子だが森宮の父親としての献身的な優子への愛が2人の生活をあたかも普通の家庭のように成り立たせていた。

高校生3年生になった優子は卒業式の合唱でクラスのピアノ伴奏者に推薦され卒業式の本番に向けて猛特訓をしていた。

そこで違うクラスのピアノ伴奏者である早瀬くんと仲良くなる、優子は早瀬くんに恋心を抱き始めていた。

早瀬くんは幼い頃からピアノの英才教育を受けているが一流ピアニストの親の期待を一身に背負うが重荷に感じている。

ある日、森宮の会社に突然別れた梨花が訪ねてきた、足元から頭の先までブランド物に身を包んだ梨花はまた金持ちの男を見つけて生活しているのだと思わせるような雰囲気で何やら森宮に話しかけている。

そして梨花がこの頃から頭まで衣服で覆うようなスタイルで登場することに注目である。

優子の卒業式が近づきピアノの特訓、早瀬くんへの想いを抱きつつ進路のことも決まっていく、優子は調理師になる目標を掲げ短大へ、早瀬君は音大への進学をきめていた。

優子の卒業式

優子が練習していたクラスの合唱の曲は「旅立ちの日に」、とうとう卒業式本番、優子は演奏を成功させ号泣する森宮をステージの上から確認した、この映画で最も感動する一幕だった。

そしてその会場には車いすで訪れた一人の女性が後ろで優子のことを見守っていた。。。それは梨花だった。

優子の養父である宮森と義母である梨花、血のつながりのない家族が卒業式という一つの空間で感動的な場面であった。。。

血のつながっていない家族が実際のところ事実としてこのような感動場面があるかと言ったらこれは筆者個人的には???な部分が多い。

手紙

卒業した優子は料理人になる夢をあきらめアパートに帰ると家に荷物が届いていた。その手紙の送り主は梨花で箱を開けてみると、そこにはかつて梨花が優子に宛てた手紙と、当時一度も返信が届かなかった梨花の実の父親水戸からのブラジルからの手紙がたくさん入っていた。

優子が中学生だったころに出て行ったきりの梨花の手紙には、「自分は最低の母親です」という言葉とともに、実父水戸の手紙が幼かった優子のもとに届かなかった理由が記されていた。

実の父である水戸に会いたがる幼い優子とどうしても離れたくなかった梨花は、水戸からの返信の手紙を優子に渡せなかったこと。優子の書く手紙も郵便に出せなくなり、水戸さんの手紙と一緒に隠していたこと。時には水戸さんへ「優子は夢を優先した父親を恨んでいる」と嘘の手紙まで送っていたこと。

『まとめ』に入る前だが、

どこからどう見てもけっして梨花は良い母親ではなかったことがここではっきりと証明されている。

以上

梨花のやっていることは単なる〝誘拐〟です。

まとめ

永野芽郁さん、田中圭さん、石原さとみさんら超主役級の俳優さんたちの良いところが集約されている感じ、そして各父親を演じたキャスト陣は微妙な立場での接点が強いられているものの、その難しさを感じさせない素晴らしいものでした。

この映画『そして、バトンは渡された』は登場人物全てが〝いい人〟、その登場人物全員の立場での心情が包み隠さずに物語に組み込まれているのが魅力。

実の親と離れ離れにされた優子

ひとり娘を梨花に奪われた水戸

血の繋がっていない子を溺愛する梨花

いきなり若い嫁をもらうも良いように利用される泉ヶ原

新婚でサプライズ連れ子からの失踪離婚コースの森宮

どれ一つとってもまともじゃないです。

なのに優子は幸せな人生を歩んでいく、何度も言うが普通じゃないほどの境遇と普通じゃないほどの優しい人達が作った物語です。

フィクションです。

この映画のようにこんなに良い人ばかりが周りにいることなんて現実ではありえないですしね、それも含めてもはやファンタジーの域!

それでもこの愛のバトンがしっかり受け継がれて優子が早瀬くんとこれから幸せな家庭を築くことを考えたら少し感動しましたが。

この映画は、観る人によってそれぞれ自分と近い立場の登場人物と同じ視点で見ることができる作品だと思います、そこが大勢に人の涙を誘うきっかけになっているのかなと感じました。

水戸さんの気持ち、悔しさ、絶望感。。。痛いほどわかりますね (苦笑)

日本は先進国の中で唯一の単独(独裁)親権国家です。

本音、

この作品は、世界中から子の養育の後進国と言われている日本の親権事情を如実に表現しつつも、一方で堕落した実情を美化して見せてしまっているというなんとも平和ボケ全開、脳内お花畑な単なる御涙頂戴作品と言わざるをえないのが筆者の本音です。

GB

  

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