好きなことの〝好き〟との向き合い方 映画『BLUE/ブルー』

ただ熱いだけのボクシング映画とは一線を画する作品。

あるボクシングジムの男達の現実的な人生の描かれ方が最大の見どころかなと思います。

人間の好きな事に対する〝好き〟な気持ちというものは、どんな形でどこまで自分自身と人の心を揺れ動かすことができるのか。

皆さんは自分の〝好き〟にどのように向き合っていますか。

この映画こんな方におすすめ! ~鑑賞のススメ~

  • 仕事や目標でなかなか結果の出ない方
  • 世の中情熱だけでは限界があると思う方
  • 実力はないが好きな気持ちは誰にも負けない気持ちを持っている方
  • 〝好き〟な事を持っている方

作品あらすじ

ボクサーの瓜田は誰よりもボクシングを愛しているが、どれだけ努力を重ねても試合に勝てずにいた。

一方、瓜田の誘いでボクシングを始めた後輩・小川は才能とセンスに恵まれ、日本チャンピオンに王手をかける。

かつて瓜田をボクシングの世界へ導いた初恋の女性・千佳は、今では小川の婚約者だ。

強さも恋も、瓜田が望んだものは全て小川に奪われたが、それでも瓜田はひたむきに努力し続ける。

しかし、ある出来事をきっかけに、瓜田はこれまで抱えてきた思いを2人の前で吐露し、彼らの関係は変わり始める。

ネタバレビュー・考察

プロボクサーとしてチャンピオンになるべく実力を持つ小川、プロとして負け続ける日々を送るが人一倍ボクシング愛を持つ瓜田、2人の間で愛情と友情をあたえる千佳、主にこの3人の人生がボクシングという競技を中心に進むべき道へと切り開かれていく。

チャンピオンを目指すが脳に障害をきたしどんどん症状が出始めた小川の婚約者としての心配と、自分が昔ボクシングを勧めてしまったばかりに、勝利が遠のくも引き際がわからなくなってしまった人生を送る元カレ瓜田への心配を演じる千佳役の木村文乃さん。

彼女の演技がリアルな献身的な女性の姿を映し出しているようで勝手に親近感わきましたね。(ただのファン目線…)

瓜田は、本当は自分ももちろん勝ちたい、また負けたのかとジムの練習生からも馬鹿にされる。

それでもプロとして試合を組み、好きなボクシングを続ける姿に胸を打たれる。

そして引き際(引退)を決め、小川と千佳に今までの本音を告白する、これは〝ボクシングが好きな瓜田〟を瓜田自身の中で受け入れ、そして次の人生へ歩き出すための第一歩であり、男のケジメでもあったのかなと。

結果が出なくても最後まで〝好き〟と向かい合って生きていくという、瓜田という男の生き方が現実的に描かれている作品でした。

まとめ

時系列と設定は

千佳の学生時代の元カレが瓜田

瓜田にボクシングを勧めたのが千佳

瓜田とボクシング仲間の小川が千佳と出会う

千佳と小川は婚約者

という感じです。

松山ケンイチさん演じる瓜田の優しさとボクシングに対する情熱やその方向性は他のボクシング映画では見たことない深い役どころでした。

一般的にこういう格闘やスポーツ映画って、主役も結果が出ないと、けっこう自暴自棄になるじゃないですか、瓜田はそれがないんですね。

結果が出ずとも毎日トレーニングし、練習生の相手をし、来るべき自分の試合を待っているんですね。

勝てなくて悔しい、もちろん、も・ち・ろ・ん悔しいって、そこは重々伝わってくる。

その瓜田の気持ちが伝わってくるって、この映画の構成脚本、演技すべてが素晴らしいって証拠だと思いました。

意外に人間って〝好きな事〟については多くの人が正面から向き合うことができると思うのですが、その好きな事の〝好き〟に関して向き合えている人って少ないような気がします。

何故自分は好きなのか、どれくらい好きなのか、本当に自分の中で一番好きなのか等、他人と比べるのではなく常に自分自身にむけて自問自答してきたからこそ、瓜田は大好きなボクシングの〝好き〟が誰よりも純粋だったのかなと。

この映画『BLUE/ブルー』は自分の好きな事の〝好き〟にどれだけ長い時間向かい合ってきたかで、その後の人生の方向性が見えてくる、という事を教えてくれたような気がしました。

青コーナーとは

作品の中で瓜田が立つ青コーナーというワードが出てきます、知っている方も多いとは思いますが、赤コーナーもあります。

それではコーナーの色分けにはどんな意味があるのでしょうか。

ボクシングのコーナーの色の違いというのは、簡単に言うとズバリ〝格の違い〟を意味します。

青コーナーは、常にランキング下位のボクサーが立つ場所を指します。

瓜田は連敗続きでしたからいつも青コーナーだったのですね。

今回の鑑賞劇場

T・ジョイ久留米

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